今日も日暮里富士見坂 / Nippori Fujimizaka day by day

「見えないと、もっと見たい!」日暮里富士見坂を語り継ぐ、眺望再生プロジェクト / Gone but not forgotten: Project to restore the view at Nippori Fujimizaka.


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魯迅と日暮里(74)南波登発の「亞細亞」への視線(49)異形の人物との邂逅そして仏教布教者の時代(中の2)幸徳秋水、そして中村信次郎 Nakamura Shinjiro, the uncanny person, part 3 おうちでできる暫定版

約半世紀ぶりに『デカメロン』(Il Decameron)を読んでみた。昔むかし、岩波文庫の星1つが50円から上がる時に買って読んだのだが、すこし前、古本屋の店先で100円均一の棚に新潮文庫版を見かけ、探したら全10冊が集まったのだった。その時には、まさかこんな事態になるとは予想もしなかった。同書は、ウマニスタ(umanista)のジョヴァンニ・ボッカッチョ(Giovanni Boccaccio)の執筆。ヨーロッパ中世に終わりを告げたペスト・パンデミック後の時代状況を背景に、イタリア・ルネサンスを切り拓いた文芸作品群の1つである。ストーリーは、病禍を逃れようと郊外のお城に避難した男女により、10日間に及んで語られた物語に仮託される。デカメロンの第1日目は、次のことばではじまる。

いともやさしい淑女方よ、どんなにあなた方が生來心から情け深くていらつしやるかということをつらつら考えます度に、私はいつもこの作品が、あなた方の御判斷では、さぞ重苦しいうるさい書きだしになつていることでございましようが、それは存じております。と申しますわけは、本書が冒頭にかかげているあの旣に過去のものとなつたペスト病による死亡の悲しい思い出が、それを見たり、そうでなければそれを知つた者には誰にも一樣にいたましいものだからでございます。しかし、だからといつて、これを讀んでほとんどいつも溜息と淚の日をすごさなければならないのかと早合點して、この先を讀むことをこわがらないでいただきたいのでございます。あなた方にとつては、この恐ろしい書きだしは、ちようど旅人の前にそそり立つた、近くに美しいこころよい平地をひかえている險阻な一つの山にほかなりません。その平地は、これを上り降りする苦勞が大きければ大かつただけ、あなた方にとつては樂しいものとなるのでございます。(註1)

Decameron,-1492,-Biblioteca-Europea-di-Informazione-e-Cultura-collection

Decameron, 1492, Biblioteca Europea di Informazione e Cultura collection


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